最初に「症状リンク集」を載せましたが、これから1つ1つの症状を詳しく説明していきますね。(リンクでつながる記事に少し手を加えていく予定です。)
今回の記事は、介護初心者には、見慣れない用語や名前が多く、最初は難しく感じられると思いますが、とても重要な情報です。少し長いですが、必ず読んで下さい。
アルツハイマー病など他の認知症と診断されている方、うつ病等と診断されている方でも急に症状が悪化した時は、薬の副作用を疑い、調べてみて下さい。
誤診されている場合が、大変多いのです。
「薬剤過敏性はレビー小体型認知症特有のもので、パーキンソン病やアルツハイマー型など他の認知症にはあまり見られない。」(小阪憲司著「第二の認知症」P.92)
では「レビー小体型認知症の介護がわかるガイドブック」(小阪憲司・羽田野政治著P.84〜94)に書かれた説明を読んでみましょう。
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レビー小体型認知症の人は、薬物に対する過敏性が高いことが大きな特徴。
様々な副作用が出る/通常の量で症状が悪化/薬が効き過ぎるなど、処方された薬で症状を悪化させたり、新たな問題を発生させることが少なくない。
市販の風邪薬や胃腸薬で具合が悪くなることもある。
処方は、専門家でも非常に難しい。医師には慎重な姿勢が求められる。
誤診により不適切な薬が処方されている例も少なくないと思われる。
*抗精神病薬(興奮を抑える薬など)で症状が悪化する。
特にパーキンソン症状(体がガチガチになったり、歩行が難しくなったり、飲み込めなくなったり等)や過鎮静(感情・思考・動作が思い通りに働かない状態)が起こる。最悪の場合、寝たきりになってしまう。
*アリセプト(認知症薬)は3mgから処方されるのが一般的だがレビー小体型認知症にはこの用量でさまざまな副作用が生じることがある。
イライラが高じたり、攻撃的になったり、胃腸に不調をきたしたりする。
より少量から始め、少しづつ増量していくのが無難であるという意見もある。
*抗うつ剤は、レビー小体型認知症の場合、効果がみられなかったり、過鎮静などの副作用が起こったりすることがあるため注意が必要。
用いる場合は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)よりもSNRI(セロトニン・ノンアドレナリン再取り込み阻害薬)、或はSARI(トラゾドン塩酸塩)が好ましいといえる。(抗うつ剤によってパーキンソン症状が悪化することはあまりない。)
*抗パーキンソン病薬<ドーパミン神経系の薬:レポドパ(L-ドーパ)やドーパミンアゴ二ストなど>を増量すると幻視や妄想がひどくなることがある。
抗コリン薬(副交感神経遮断薬)は、口渇、尿閉、便秘などとともに認知症を悪化させるので使用すべきでない。
(注:降圧剤、抗精神病薬、胃腸薬、吐き気止めの薬などには、パーキンソン症状を悪化させる成分を含むものがある。)
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新しい薬を追加する場合は、いったん最小限必要な薬のみにしぼったうえで試す必要がある。そうしないと薬の効果や副作用を判断しにくい。
薬は、徐々に減らす、徐々に増やすのが定石。
薬の中断や変更には、悪性症候群(高熱。筋肉硬直、意識障害など)の可能性もあるため注意が必要。
家族は、薬の追加や変更、中止、増量の際には、不調や症状の悪化がないかを見極め、記録することが重要。
「少し我慢して使ってみましょう」などと医師に言われても本人の状態を一番把握している立場にいる介護家族がきちんと医師に変化を伝えること。
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ちょっと難しかったでしょうか?
大丈夫です!今、飲んでいる薬が、SSRIなのか抗コリン薬なのか、何なのかは、処方箋に書いてある薬の名前を検索すれば、誰でもすぐにわかるようになっています。副作用のことも全部書いてあります。
「薬剤過敏性」は、最も気をつけるべき症状なのです。
「少し落ち着くよう/元気が出るようお薬を出します」と医師から処方された薬によって劇的に悪化することが、多々あるからです。(個人差が大きく、この症状がない方もいます。)
にもかかわらず医療・介護・福祉のプロでも知らない場合が多く、「病気が進行した」で片付けられてしまいます。(この状況が急速に改善されていることを切望します。)
家族が薬を調べて自衛することが重要になります。
そう伝えると、介護家族からよく聞く言葉があります。
「薬のことなんて素人には、わかりません」
→繰り返しますが、薬の名前は、処方箋に書いてあります。副作用の情報も薬検索サイトで公開されています。レビー治療に使われる薬は、ごく限られたものです。医師も薬剤師も相談にのってくれます。
「何だか恐いから飲ませません/変更(中止)するのが恐いです」
→知れば、何も恐くありません。微量のアリセプトは専門医にも推奨されており、ごく微量の抗精神薬が効く方もいます。
どの薬がどの量で(副作用も出ず)最も効くかは、個人差が大きく、飲んでみなければ医師にもわかりません。
微量から始めて、家族(介護者)が注意深く変化を観察し、医師に報告することが何より重要です。
<関連記事(私個人のブログにつながります)>
*「誰にでも危険が!高齢者の認知症を悪化させる処方薬」(新聞記事)
*「各種認知症における認知症薬アリセプトの副作用」
*「抗精神病薬などで悪化したレビー患者の体験談集」(リンクで多数)