症状3. レム睡眠行動障害・せん妄

今回は、「最も早くから出ることの多い症状」と「最も家族を驚かせ悩ませる症状(せん妄)」について見てみましょう。

 

せん妄」という言葉は、一般には知られておらず、誤解されていることがとても多いです。しかし具体例を見ると当てはまる方が、大勢いらっしゃると思います。是非、注意してチェックしてみて下さい。

 

レビーの発見者である小坂憲司医師の「第二の認知症 増えるレビー小体型認知症の今」という本(レビー関係者には必読本)からの抜粋です。



 <レム睡眠行動障害> (夜中の大きな寝言や異常行動)

悪夢をみて大きな声で寝言を叫んだり、怒ったり、怖がったり、暴れたりする。
レビー小体型認知症ならびにパーキンソン病において高頻度にみられる。
誰にでも寝言はあるが、頻度が尋常でなく、繰り返される

具体的には、奇声をあげたり、「この野郎!」などと大声で寝言を発したりする。悪い夢や嫌な夢を見ているケースが大半。

 

急に起き上がる腕や脚をバタバタさせるベッドから転げ落ちる壁に体をぶつける、隣の配偶者を叩くこともある。

夢遊病のように歩き回るようなことは殆どない。
 
レビー小体型認知症の人には、この症状が発病(診断)の10年前、20年前からあったというケースも見られる。

従って最近では、前ぶれ(前駆症状)と考えられている。(注1)

 

中期以降では、この症状は見られなくなることがほとんど。 (P.83〜84)

 

(注1)「健常者でも0.5%前後に見られるとの報告がある」(河野和彦著「コウノメソッドでみる認知症診療」P.200 報告の出典はP.213)

追記byしば:母はレビー発症前にこの症状を精神科医に相談し「夜驚症。ストレスでひどくなった寝ぼけ」と言われました。夜驚症は異常言動の記憶がないといいますが、レビーの場合は、夢の内容(強盗と戦っていた等)を覚えているといいます。母も夢の内容を詳しく話せました。

介護家族の中には、レビー発症前にこの症状から脳ドックを受け「異常なし。心配ない」と言われた方もいます。

毎晩もの凄い声で叫ぶので隣では眠れない」「夜中に突然、殴られたりする」と話す介護家族の方もいます。



 <せん妄> (意識障害)

せん妄とは、軽い意識障害(混濁)に伴って幻覚興奮思考力低下注意力欠如などが見られるもの。急激に起こるが、一時的なもの。
(アルツハイマー型、脳血管性認知症の症状としてもよく知られている。)

例:「火事だ!」と騒ぐ。/ぶつぶつ独り言を言う。/死んだ飼い猫(幻視)が見える。/夜中に「畑に水やりに」と出掛けようとするなど異常な言動

夜中に起こることが多く「夜間せん妄」と呼ぶ。手術後も頻度が高い(術後せん妄)。
脱水薬物が原因となってせん妄が生じるケースもある。

せん妄とレム睡眠行動障害は、別のものだが、どちらか特定することが難しい場合もしばしば。せん妄は、後で思い出せないが、レム睡眠行動障害は、目を覚まさせると夢を見ていたとわかることが多い。(P.85)

 

追記:河野和彦医師の著書「新しい認知症ケア 医療編」(P.70)から

せん妄は、軽度の意識障害に不穏が伴った状態。患者は、幻覚、妄想、不安、恐怖を味わっていて、精神的に極めてアンバランスな状態にある。

目がうつろ、視線を合わせない、うろうろ動き回り転んでばかりいる、大声で叫ぶ、目をつぶって体を揺すっている、周囲にわからない言葉をつぶやく等」→詳細


追記byしば:手術の後に起こった母のせん妄は、次のようなものでした。

●支離滅裂なことを延々と話し続ける。(独り言?)

●突然怒り出し、興奮して怒鳴り続ける。

●人と話す時に視線を合わせようとせず、あらぬ方向を見ている。

●夜中に「助けて!」等と叫ぶ。 ●ベッドの柵を乗り越えて落下する。

●点滴を引き抜く。 ●汚れたオムツを外して投げる。 ●常に見える多様な幻視を現実と思い込み、泣いたり怒ったり、それに常に振り回されている。等。

 

当時、若い医師は「会話ができるのだから、せん妄ではない」と説明。(その後、他の医師から「それは、せん妄だろう」と言われました。)

家族は、『認知症が一気に進んで、訳の分からない人になってしまった』と大変なショックを受けますが、せん妄が治まれば、必ず元に戻ります

しかしせん妄が、中々治まらない場合もあります。

 

「多くの認知症患者はせん妄を合併している。特にレビー小体型認知症患者の多くが、慢性的にせん妄を抱えている」(河野和彦著「コウノメソッドでみる認知症診療」P.21)

 

母のせん妄は、治療しても治まりませんでしたが、3年近くかけて徐々に影を潜めました。要介護4の現在、調子の良い時には、全く正常な会話が可能です。久しぶりに会う親戚は「認知症って聞いてたけど、全然違うじゃない!」と口を揃えて言います。


<関連記事>
     *「レビー小体型認知症の特集記事(朝日新聞)」(非常に詳しい)

*「レビー小体型認知症の幻視の種類と特徴

*「レビー小体型認知症の症状と誤診の多さ(患者は医師に幻視を訴えない)
*カテゴリ:「レビーと各種認知症の症状と早期発見チェックリスト)

 

 

紫蘭(シラン)
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