レビー小体型認知症は、薬に弱く、薬が効き過ぎる特性(薬剤過敏性)があることは、これまで繰り返しご説明した通りです。
それは、下戸(お酒に弱い人)の飲酒にとても似ています。
お酒(薬)で上手く歩けなくなったり、もうろうとして会話ができなくなったり、更には動けなくなってしまいます。
百薬の長(薬)も(量や種類によって)下戸には、毒になるのです。
お酒と同じように個人差は非常に大きいです。
中には、薬剤過敏性がないに等しい方から、(稀な例ですが)どの薬も副作用がひどく、一切飲めないという方まで現実にいらっしゃいます。
しかし認知症専門医でも、レビー小体型認知症の薬剤過敏性については
よく知らない方が、今でも決して珍しくはありません。
(アルツハイマー型に関しては、精通されているのだと思います。)
まして内科、整形外科、眼科など他の科の医師では、レビー小体型認知症という病名を知らない方もまだまだいらっしゃいます。
そのため、認知症治療もですが、他の病気でかかった医師から
処方された薬を飲んで悪化したという体験談も度々伺っています。
印刷用の「注意するべき薬一覧」のメモを作りましたので、
どんな病院に行く時にも必ず持参して、医師に手渡して下さい。
もしリストの中にある薬を「これは必要な薬。大丈夫だ」と言われたら
「念のために」微量から始めるようにお願いして下さい。
「半量から始めて、様子を見て増やしていっても良いでしょうか?
もし合わないようだと感じたら電話でご相談してもよろしいでしょうか? 私の判断でまず中止し、後でご相談しても構わないでしょうか?」
と訊いてみて下さい。
可能なら、納得のいくまで、十分に話し合って下さい。
決して不信感を示すのではなく「レビーの特性上、薬に弱く、心配があるので、万一の場合を考えて備えたい」という友好的な低姿勢で。
一覧の中にない薬でも「普通の方には起こらない反応(副作用)」を起こす方もいらっしゃいます。
どんな薬でも、飲ませたら、必ず、その良い効果、悪い効果を慎重に詳しく観察することは、レビー小体型の介護には、必須です。
逆に多くの患者に効く薬でも、全く効果が出ないということもあります。
幻視に効果の高い抑肝散(漢方薬)も効果が出ない方には、全く出ません。
多くの種類の薬をただ漫然と飲み続けるのではなく、医師に相談を。
薬(主に副作用)にさえ十分に注意し、
本人に安心を与える接し方(適切なケア)さえできれば、
レビー小体型認知症は、決して怖い病気でも難しい病気でもありません。
過敏なだけに、少量の薬がとてもよく効いたり、副作用の出ていた薬を
止めたり減らしたりするだけで劇的に良くなる利点もあるのですから。
そうして、病気ではあっても、長年、穏やかに笑顔で生活していらっしゃる方々は、大勢いらっしゃいます。
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*認知症医療の問題点 (リンクでレビー小体型の治療)